英語にはrideやtake、attendやparticipateなど同じ意味だけど違う単語が存在してますよね。ああいうのってどうやって使い分ければいいんですか?

確かに、英語には同じ意味だけど違う単語が使われることがよくあります。
それがなぜだか考えたことはありますか?

い・・・いえ。なぜか、までは考えたことないです。

大きな理由は、英語が長い間世界で最も広く使われている言語の1つであり、多くの文化や地域からの影響を受けているから、と言えます。
ここにこそ、英語の多様性というものが詰まっており、英語が魅力的な特徴の1つとなっています。

み・・・魅力的・・・?

はい。英語には同じ意味で異なる単語が確かに存在します。しかしそれらの単語には若干のニュアンスの違いが含まれています。その理由は、それぞれの単語に誰がいつどの地域で使ったのか、という歴史的な背景がしみ込んでいるからだといえます。
今回はそんな英語の多様性について書いていこうと思います。

この記事を読むべき人
  • 英語にはなぜ同じ意味で違う単語が使われる場合があるのか気になる人
  • 英語という言語そのものをより深く知りたい人
  • 英単語の微妙なニュアンスの違いについて説明する際にどうしようか悩んでいる先生
  • 英語の歴史にちょっとでも興味がある人
この記事のポイント
  • 英語はより多くの人のコミュニケーションを円滑にするために姿を変えてきた。
  • 英語は多数の借用語(loanword)を持つ言語である
  • どういう人たちに、どういう使われ方をしてきたのか、というのが今なお単語にしみついている
  • 厳密な使い分けよりも柔軟な感覚を身に着けるべき

同じ意味で異なる単語がある理由

今でこそ国同士が領土を奪い合うようなことはほとんどなくなりましたが、昔はそうではありませんでした。

より良い土地を目指して、多くの民族が侵略と拡大を繰り返します。

そこで考えるべきは、侵略を受けた側の言語はどうなるのか、ということです。

違う言語を話す民族ですので、基本的には統治する側の言語に合わせることになります。

元々そこに住んでいた人たち同士は、自分たちの言語を話し、侵略してきた人と話すときはその言語を使用する。

ですが最初はその侵略してきた言語を流ちょうに扱えるわけではないので、自分たちの言語を織り交ぜながら片言で会話する。

そうすることで少しずつ現地の言葉と侵略してきた側の言語が混ざり合い、コミュニケーションツールとしてより使いやすいものに変化していく。

英語にもそのような変化が起きてきました。

英語の遍歴をまとめると以下のようになります。

  • 450-1100年 古英語
  • 1100-1500年 中英語
  • 1500-1900年 近代英語
  • 1900年以降 現代英語

この間に、アングロ・サクソン人がブリテン島に到来したり、ノルマン征服が起きたり、フランス系貴族が英国人を支配する社会構造になりフランス語の力が増したり、その後英語が力を取り戻したり、印刷技術が発展して標準的な英語というものが生まれたり、大航海時代やルネサンスなどさらに他国との交流が活発になりしてほかの国の単語を取り入れたりと、今の形になるまでに色々なイベントを経ているわけです。

その中で、フランス語から借用したり、ラテン語から借用したりすることがあったため、同じ意味で違う単語が生まれてきたというわけです。

同じ意味で異なる単語の使い分け

そのようにして出来上がった単語ですが、現地の人が元々使っていた単語と、支配者側が使っていた同じ意味の単語がしばしば存在しました。

例えば、askとinquireです。

この単語には「問い合わせる」という意味があります。

askは古英語由来の言葉ですが、inquireはラテン語由来の単語です。

askとinquireはどちらの方が使うでしょうか。

多分askのほうが使う頻度が高いのではないでしょうか。

その理由は、askが古英語由来であり、一般市民が使っていた単語である一方、inquireは借用語であり、公文書など正式なものに使われていた単語だからと言えます。

他にもheplとassistやstartとbeginなど、多数の単語が同じ意味だけど違う単語として存在するようになりました。

当時は使う場面や、使う人々によってあえてその単語を使用していたという経緯があります。

だんだん時を経てその明確な使い分けはなくなってきました。

しかし、その中でもかすかに残っているそれぞれのニュアンスがrideとtake、happyとjoyful、tiredとexhaustedなどに沁みついて残っているわけです。

まとめ

英語は、多様な歴史的な変遷を経て形成された言語だということがわかりました。

英語は進化をし続けてきたというわけです。

現在は同じ意味の単語として残っているものでも、当時の歴史的背景から二ュアンスや使い方、場面や文脈などによって使われ方の違いが生まれていることがわかりました。

英語学習者へのヒント

英語学習者にとっては、同じ意味で異なる単語を覚えることは大きな課題だと思います。

1つ1つを覚えていくのは現実的には困難です。

まずは、同じ意味で異なる単語がある、ということを受け入れましょう。

そして、そういった単語に出会ったら単語の使い方や文脈を観察してください。

大量のインプットとアウトプットを繰り返し、使い方をマスターしてください。

今後の英語

引き続き、英語にはますます多様な単語が加わっていくことが予想されます。

それは英語がすべての人に使われやすい言語へと進化しているということです。

そして、それらの単語によって、みなさんはより豊かな表現力を手に入れることができるということです。

英語学習に終わりはありませんね。

英語の多様性を楽しんでいきましょう。