最近CLILという言葉を聞いたのですが、これって結局何なんですか?

結局何なのか、と一言でまとめるのは実はすごく難しいんです。
その理由も含めてこの記事ではCLILについて説明していきたいと思います。

この記事の結論

・CLILとは教科科目やテーマの内容(content)の学習と、外国語(language)の学習を組み合わせた(integrated)言語習得アプローチである。

・ヨーロッパで政策的に開始されたものであり、それをそのまま日本で真似てもうまくはいかない可能性が高い

・CLILという視点から従来の授業を捉えなおすことが大切

CLILとは何か

CLIL(Content and Language Integrated Learning、内容言語統合型学習)は、教科科目やテーマの内容(content)の学習と、外国語(language)の学習を組み合わせた(integrated)言語習得アプローチのことを指します。

この教育方法の特徴は、習得を目指す言語(主に英語)を用いながら、別の教科や社会的テーマを学ぶ点にあります。

学習内容の理解に重きを置き、そのための「ツール」として英語を位置付けています。

また、CLILは学習者の思考力やコミュニケーション能力、協同学習、異文化理解を重視しています。

柔軟性が高いがゆえに、この教材はCLILであり、これは違うと分けることは困難です。

同じ教材を使用していた場合でも、そのテーマについての学習に重きを置いた場合それはCLIL的であるといえ、逆に言語を学ぶためだけのものと捉えるとCLILとは言えなくなります。

例えば、英語の教科書の本文で「環境問題」についての本文があった場合、学習者動詞が協力的に学び、考えながら、その内容に関連するキーワードやキーセンテンスとなる英語を学ぶような方法であればそれはCLILと言えるということです。

つまり、CLILの原理や教育方法は新しいものではなく、既存の要素をうまく結びつけて出来上がった、一つの教育的な理念と言えます

その教育理念は次で説明する「4つのC(4Cs)」を基本としています。

CLILの「4つのC」

CLIL(内容言語統合型学習)の学習理論は、「4つのC」というフレームワークを中心に展開されています。

この4つのCとは、Content(内容)、Communication(言語)、Cognition(思考)、Culture/Communication(文化・協同)を指し、CLILの教育アプローチの核となっています。

Content(内容): CLILでは、教科やテーマに関連した内容を重視します。これは、学習者が科目の内容を深く理解することを意味し、言語学習と結びついています。

Communication(言語): 言語学習はCLILの重要な要素であり、学習者が対象言語でのコミュニケーション能力を高めることを目指します。これには、読む、書く、話す、聞くといった基本的な言語技能が含まれます。

Cognition(思考): CLILでは、学習者の思考活動を促進することが目標です。これは、知識の暗記や理解から応用、分析、評価、創造に至るまで、さまざまなレベルの思考を含みます。

Culture/Community(文化・協同): CLILは、文化・国際理解および他者との協同学習を重視しています。これは、異文化理解や国際問題に対する意識を高め、協同作業を通じて学習者の社会的スキルを養うことを意味します。

これらの4つのCを取り入れた教材開発や指導は、教育の質を高めると考えられています。

Content、Communication、Cognition、Culture/Communityの統合により、CLILは言語学習だけでなく、学習者の総合的な能力開発を目指しています

授業に取り入れる際の所感

私の授業ではCLILを取り入れています。

ただ、新しいことを始めたというより、今まで実践してきたことをCLILという枠組みで捉えなおした、という方が正解な気がします。

日々の業務の中で新しいことを始めようとすると負担を感じますが、CLILはあくまで教育理念であり、どう生徒にあってほしいのか、という部分で今までの授業を捉えなおすことだと感じています。

通常使っている教科書を使っても十分取り入れることができるので、気になる方はCLILについてより詳しく調べていただければと思います。

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ヨーロッパから始まったCLILを、どのようにして日本の英語教育に適応させていくのかが分かりやすく書かれています。

第二言語習得論とCLILふたつの観点から生徒の主体性を伸ばすための提案をしている本です。出発は違う二つですが重なり合う部分も多く、それがうまく整理されており読みやすいです。

CLIL実践についての具体的な事例を知ることができ、授業にどのように取り入れていけばいいのかがわかる本です。